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苦しむために苦しむ世界 [うつが教えてくれたもの]

からだの状態が切り替わり
苦しみの時間に入るたび
いつも思うことがある

うつの苦しみは
苦しむために苦しむ時間
苦しむために苦しむ世界の中から生まれてくる


からだはとても重くだるくなり
なにをするにも気力を奮い立たせなければ動けず
そのただ動いて何かするということ自体が大きくのしかかり
頭の中で間断なく葛藤を続ける

時には刻一刻と迫る予定の時間と格闘し
結局動けずうっちゃることで
少しこころは休まるが
今度は予定を果たせなかったことで
自己嫌悪に陥る始末

世界は悩みと苦しみの色眼鏡に彩られ
普通の人なら気にもとめない些細なことすら拾い上げ
自分を苦しめる材料としてしまう

自分自身のコンプレックスや苦手意識は
絶対に越えられない大きな壁となって
とてつもない圧迫感と恐怖心を
こころの奥底に生じさせる

もともと何か悩みがあるのなら
それが限りなく大きくなって
出口の見えない暗闇をぐるぐる回ることになり
なかったならばなかったで
自分で何か悩みをこさえてしまう

安らぎ、希望、喜びは
世界の中から失われ
四方八方どこ向けど
常に最悪の可能性のみ目に入る

知覚 五感 認識 思考 感情 意識
全てが別人のように切り替わり
文字通り
生きる世界ががらりと変わる

そして一度この世界に陥ったら
もとの世界に帰ることは
もはやその世界の中に囚われた自分だけでは
不可能に近い


このことを認識してないと
周りの人間にとっては
その人がどのような助けが必要なのかが分からない

あまつさえ
うだうだ悩んでいるだけで行動しない
ただの甘えた人間のように見えてしまう

そして
その人自身にとっても
この認識の不足は悲劇となる

もとの世界にいた自分なら
当然できていたはずのことすらできない
という自己認識が
新たな火種となって自分を強く責め苛む

もとの世界に属する自分の物差しが
いまの自分を否定する

いまの自分の現実で
そもそも不可能であることを追い求め
自分自身を追い詰める


必要なのはそうではなく
自分自身を縛り付け
がんじがらめにしている苦しみの輪を紐解いて
苦しむために見つけた苦しみではない
苦しみを生み出す問題を一つ一つ
できるところから解体していくこと

そうは言っても本人には
到底不可能に思えるこのことを
周りの人は見守り
時に導いて
現実の側から光を当てること

これができると
その人は少し軽くなる
苦しむために苦しむ世界の現実を
少し受け容れる余地が生まれてくる


そして
その世界の理に寄り添い
現実の違いを認識できるようになると
また違った世界が見えてくる

苦しむために苦しむ世界が
辛くはあっても苦しくはない

そんな視点が生まれてくる

苦しむために苦しむ世界だからこそ
見えるものが見えてくる


苦しみはいつでも
その人の人生の課題から生まれてくる

能力的に未熟だったり欠けていたり
知らず染み込んだ価値観や認識が
自分自身を縛っていたり
人間として生物としての繋がりの中に
自分を置くことができずにいたり
他人に心を開けなかったり
自分自身を卑下していたり


現実の中に現れた
様々な苦しみの奥に潜む
そんな大元の人生の課題を
苦しむために苦しむ世界は見せてくれる

普通なら無意識に目を背けたくなる
そんな本質の問題を見せてくれる


このことは
それを見たくないものにとっては地獄だが
謙虚にそれを受け止めて
未熟な自分を成熟させたいと願うものにとっては福音だ

苦しむために苦しむことは酷く辛い体験だが
この世界を旅するたびに
少しずつこころを熟する課題が見える

そのことが
いまは少し自分を鼓舞している

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